私がコピーライティング案件でよく使っている、競合分析のテンプレートです。
質問項目 | 目的・着眼点 | 調査方法(例) |
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1. 競合の基本情報 | ||
企業名・ブランド名 | 正式な企業名、主要ブランド名を把握する。 | Webサイト、会社概要ページ |
サイトURL | 公式サイト、サービスサイトのURLを記録する。 | Googleなどの検索エンジン |
事業規模 | 企業の体力、市場での影響力を測る(公開情報があれば)。 | 有価証券報告書(上場企業の場合)、企業データベース、業界レポート、ニュース記事、会社四季報 |
主なターゲット顧客層 | どのような顧客をターゲットにしているか(デモグラフィック、サイコグラフィック、ニーズなど)。自社と重なるか、異なるか。 | Webサイトのトーン&マナー、製品価格帯、顧客事例・導入事例、SNSフォロワー層の分析、レビュー投稿者の属性分析、広告の出稿先メディア |
2. 製品・サービス分析 | ||
主力製品・サービスラインナップ | どのような製品・サービスを提供しているか。その中で主力は何か。各々の概要と特徴を把握する。 | Webサイトの製品・サービスページ、サイトの製品・サービスページ、カタログ、パンフレット、ニュースリリース |
各製品・サービスの主な機能 | 具体的な機能、性能、仕様は何か。顧客のどのようなニーズに応えるものか。 | Webサイトの製品・サービスページ、ヘルプ・マニュアルページ、デモ動画、比較サイト |
提供価値・顧客ベネフィット | その製品・サービスを使うことで顧客は何を得られるのか。どのような問題を解決し、どのような願望を満たすのか。 | 顧客事例・導入事例、レビューサイト、マーケティングメッセージ |
価格戦略 | 価格設定はどうか。自社と比較して高いか安いか。料金プランの柔軟性、オプションや割引の有無。 | Webサイトの料金ページ、見積もり依頼(可能な場合)、キャンペーン情報、プレスリリース |
品質・性能・信頼性 | 製品・サービスの品質レベル、性能の高さ、安定性や信頼性について、市場でどのように評価されているか。 | レビューサイト、比較記事、第三者機関の認証・評価レポート、実際に製品を試用(可能な場合)、ユーザーフォーラム |
デザイン・UI/UX | 製品の見た目、ウェブサイトやアプリの使いやすさ、顧客体験はどうか。 | 実際にWebサイトやアプリを操作、デザイン系レビューサイト、ユーザビリティテストの結果(公開されていれば) |
技術力・独自性 | 競合が持つ独自の技術、特許、ノウハウは何か。他社が模倣しにくい強みはあるか。 | 特許情報データベース(J-PlatPatなど)、技術系ブログ、ニュースリリース、採用情報(エンジニアの募集要項など)、学会発表 |
製品・サービスの強み | 競合の製品・サービスが顧客に選ばれる主な理由は何か。 | ポジティブな顧客レビュー、比較記事での高評価ポイント、競合自身のPRポイント |
製品・サービスの弱み | 競合の製品・サービスに対する顧客の不満点や、改善の余地がある点は何か。 | ネガティブな顧客レビュー、比較記事での低評価ポイント、Q&Aサイトでの不満の声 |
3. マーケティング・販売戦略 | ||
主な販売チャネル | どこで製品・サービスを販売しているか(オンラインストア、実店舗、代理店、営業担当直販など)。チャネルごとの強みは何か。 | Webサイト(購入方法、代理店一覧など)、業界ニュース |
マーケティングメッセージ | 顧客に対してどのようなメッセージを発信しているか。ブランドの核心を表す言葉は何か。 | Webサイトのトップページ、広告コピー、会社案内、SNSプロフィール |
主なプロモーション活動・広告戦略 | どのような広告媒体を利用し、どのような内容のプロモーションを行っているか。キャンペーンの頻度や規模。 | Web広告(リスティング広告のキーワード検索、ディスプレイ広告の出稿先サイト確認、SNS広告ライブラリ)、プレスリリース、イベント出展情報 |
コンテンツマーケティング戦略 | ブログ、SNS、動画、ホワイトペーパー、導入事例など、どのようなコンテンツを発信し、見込み客や顧客との関係を構築しているか。コンテンツの質と量はどうか。 | 競合のオウンドメディア(ブログ、コラム)、YouTubeチャンネル、SlideShare、メールマガジン、SNS投稿内容の分析 |
SNSアカウントと活用状況 | 主要SNS(X, Facebook, Instagram, LinkedIn等)のアカウント情報、フォロワー数、投稿頻度、エンゲージメント率、発信内容の特徴。 | 各SNSプラットフォームで直接確認、SNS分析ツール(無料版・有料版あり)、フォロワーの属性分析(可能な範囲で) |
主要SEOキーワード | どのようなキーワードで上位表示を目指していると考えられるか。ツールや目視で主要なキーワードをリストアップする。 | SEO分析ツール(Googleキーワードプランナー、Ubersuggest、Ahrefs、SEMrushなど)、競合サイトの目視確認(hタグ、コンテンツ内容) |
主要ページのtitleタグ | トップページ、主要製品・サービスページ、主要記事などのtitleタグの傾向、キーワードの含め方、訴求ポイントは何か。 | ブラウザのタブ表示、ページのソースコード表示、SEO分析ツール、ブックマークレット |
主要ページのmeta Description | 上記ページのmeta Descriptionの傾向、キーワードの含め方、クリックを促す工夫、文字数はどうか。 | 検索エンジンの検索結果スニペット、ページのソースコード表示、SEO分析ツール |
サイト構造とコンテンツの質 | サイト構造は分かりやすいか。各コンテンツはターゲットキーワードに対して網羅的で質の高い情報を提供しているか。 | Webサイトのナビゲーション確認、サイト内検索の利用、各ページのコンテンツ量・質を目視確認、SEO分析ツールのサイト監査機能 |
CTAの文言とデザイン | 「詳しくはこちら」 「無料トライアル」 「お問い合わせ」 など、どのような言葉で行動を促しているか。ボタンの色、形、サイズ、配置はどうか。 | 競合のWebサイトを実際に閲覧し、主要ページ(トップ、製品ページ、料金ページ、ブログ記事など)のCTAを確認 |
CTAの配置場所と数 | トップページ、製品ページ、記事下など、どこにどの程度の数のCTAを配置しているか。効果的と思われる配置か。 | 同上。ヒートマップツールなどでの分析結果が公開されていれば参考にする。 |
CTAが促す具体的な行動 | CTAをクリックした先で、ユーザーにどのような行動(フォーム入力、資料ダウンロード、購入手続きなど)を求めているか。 | 実際にCTAをクリックし、遷移先のページやフォームを確認(実際にフォーム入力完了した後まで調査できればGOOD) |
4. 顧客の評判・レビュー | ||
顧客レビュー・評価(ポジティブ) | レビューサイト、SNS、ブログなどで、顧客は競合の何を評価しているか。具体的な強みや満足点は何か。 | Googleマップ、比較・口コミサイト、X(旧Twitter)・Instagram等のSNS(キーワード検索)、業界特化型レビューサイト、App Store・Google Playのアプリレビュー、Yahoo!知恵袋等のQ&Aサイト |
顧客レビュー・評価(ネガティブ) | 顧客は何に不満を感じているか。具体的な問題点や改善要望は何か。 | 同上。特に低評価レビューや批判的なコメントに注目する。 |
メディアや業界からの評価・受賞歴 | 専門家や業界団体からどのような評価を受けているか。受賞歴があれば、その内容と意義を把握する。 | ニュース記事、業界団体のウェブサイト、受賞歴をまとめたページ(競合サイト内やWikipediaなど) |
5. 顧客体験・サポート | ||
購入・導入プロセスの容易さ | 顧客が製品・サービスを購入(または導入)するまでの手続きは簡単か、分かりやすいか。オンボーディングプロセスはどうか。 | Webサイトでの購入フローの確認、デモアカウントの試用、レビューサイトでの言及など。 |
カスタマーサポート体制 | 問い合わせチャネル(電話、メール、チャット等)、対応時間、FAQの充実度、サポートの質に関する評判はどうか。 | Webサイトのサポートページ、ヘルプセンター、FAQ、実際に簡単な問い合わせをしてみる(可能な範囲で)、SNSやレビューサイトでのサポートに関する口コミ |
保証・アフターサービスの内容 | 製品保証の期間や範囲、修理・交換の体制、その他アフターサービスは充実しているか。 | Webサイトの保証規定ページ、製品マニュアル、顧客レビュー |
顧客コミュニティの有無と活性度 | ユーザーフォーラムやオンラインコミュニティを運営しているか。その場合、どの程度活発に利用されているか。 | Webサイト内にコミュニティへのリンクがあるか確認、コミュニティ内の投稿数や最終投稿日、コメント数などを確認 |
Q&A
- Q競合は何社くらい調べれば十分ですか?
- A
一概には言えませんが、まずは自社と事業領域や顧客層が直接的に重なる「直接競合」 を3~5社程度、深く分析することから始めるのが良いでしょう。リソースに余裕があれば、将来的に脅威となり得る新規参入企業なども視野に入れると、より多角的な分析が可能です。
- Q間接競合も調べたほうが良いですか?
- A
はい、間接競合についても把握しておくことをおすすめします。ただし、直接競合ほど詳細なフレームワークを用いた分析は必要ありません。重要なのは、「自社の顧客層が、どのような間接競合の製品やサービスを利用し得るのか」 「それはどのような理由からなのか」 という点を理解することです。
- Q競合分析は本当に役に立つの? やらなくても良いのでは……?
- A
POD(Point of Difference:差別化ポイント)、POP(Point of Parity:同質化ポイント)、POF(Point of Failure:劣位ポイント)の正確な把握や、自社も活用できそうな集客手法の発掘、市場における自社の最適な立ち位置の見極めなど、多岐にわたるメリットがあるので、やったほうが良いです。
- Q競合の情報はどのように集めれば良いのでしょうか?
- A
競合企業のWebサイト、プレスリリース、公式SNS、ブログはもちろん、業界専門メディア、市場調査レポート、顧客のレビューサイト、Webセミナーなども貴重な情報源となります。基本的にはWebでのリサーチで9割の情報は入手可能です。生成AIのDeep Research機能を使うのも良いでしょう。